共感的身体知

相手に入るためには、分離感をなくすこと。分離感とは反感であり、感情の一種です。この分離感という反感は一度生まれると意識的にそれを消すことはむずかしく、その感情を消すことに囚われれば囚われるほどその感情はますます強まっていきます。しかし、もし接触点から伝わる相手の圧感を大事にできる意識があれば、反感ははすっと消えていきます。このすっと消えていくときに、まさに相手にはいることができています。触覚は単なる相手を知る機能だけでなく、自分の感情を超える感覚的叡智であり、相手とつながる高次感覚のように思えます。

 

触覚を通して、身体からもたらされる情報を丁寧に意識する冷静さを訓練するのも稽古の一つでしょう。

分離感が生み出す衝突が、感情の衝動的行動だとすれば、相手に入るとは、触覚による共感的身体知と言えます。