ゼロの力

相反する力が同居するときにゼロの力が生み出されます。相反する力とは左に行く力と右に行く力、左に回転する力と右に回転する力、上に行く力と下へ行く力、つまり、二極性の力のことです。そしてこれらの二極性の力が一方に偏るのではなく、ひとしくぴったりと働いているときに生じる力が、ゼロの力、いわゆる丹田のことになります。そしてこのゼロの力を身体の中で生み出すために必要なのが呼吸です。

呼吸こそがゼロの力を生み出す根源なのです。それは吸うと吐くが同居する瞬間に生み出される力のことです。


吸うと吐くがが同居するとは言い方を変えれば、吸うでもなく吐くでもない瞬間のことです。吸うでも吐くでもないという瞬間とは息を止めているのではありません。限りなく吸い、限りなく吐くことの結果生じた身体のあり様のことです。


吸うことによって生じた身体と吐くことによって生じた身体、この二極性の身体が出会うときに、ゼロの力となります。