腰の命門と小指の命門

袴腰になるためには命門を開く必要があります。命門は腰の操作によって開くことができますが、慣れていない人がそれをやると、どうしても腰骨周辺の筋肉に力がはいるようです。場合によっては、仙骨を締めたり、骨盤を後傾させてしまうようです。そうなると命門が開くどころか、腰骨周辺に支点ができてしまい、丹田の力としての技は成立しません。

仙腸関節を締めることで、あるいは骨盤を後傾させることで、腰骨周辺に支点ができてしまうと、膝から太ももに力が入ってしまいます。その結果、力技になり、筋肉が強いほうが勝ってしまいます。

ではどうすればよいか。答えは、正しい型稽古をすることです。型稽古を通して、末端から命門をひらくようにするのです。末端とは文字通り、身体の末端であり、指になります。しかし、いきなり指の操作で腰の命門を開くことはできないでしょう。

そのためにまずはサンチンの腕を開くと同時にカイナをかえす動作を練習してください。サンチンの動作はその繰り返しになっていますが、それはその動きがもたらす質が重要だからです。

そしてその動きの質によって、あるとき、その動作を生み出す起点が最終的には小指の第2関節あたりになることに気が付きます。

身体からのフィードバックが起こります。

 

小指のありようは、腰の命門を開くカギです。

小指の第2関節あたりが、同様に命門と言われるのも決して偶然ではないのでしょう。

人間の身体はいろんなところがフラクタルになっています。手のひらは肚のコピーになっています。手のありようによって、肚周りのありよう、丹田をつくることができます。

小指の命門と腰の命門は双子の関係です。この関係性を頭でどんなに考えて、探ったとしても決してわかることはないでしょう。


それは身体を通してはじめて認識できる「知」であるのです。